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2020.09.10

9月9日は救急の日でした

 こんにちは。9月に入って暑さも和らぎ、朝晩は涼しくすら感じるようになってきました。同時に体調を崩しやすい時期でもありますので、体調管理には十分注意していきましょう。

さて、今回は9月9日、救急の日についてお話していきたいと思います。

歯科で救急にかかるというと、転倒や事故によって顔が傷ついたり、歯が欠けたり抜けたり、顎顔面の骨折などの外傷によるもの、顔が腫れるなどの炎症によるもの、急激な痛みで耐え難く、眠れないなど疼痛によるものが主に挙げられます。

外傷の場合、ポイントは高所からの転落や交通事故など高エネルギー外傷か、ただ単にこけたなどのエネルギーがあまりかかっていないか、頭部打撲を起こしているかどうかによって判断が変わってきます。頭部打撲を伴う場合や、高エネルギー外傷の場合には救急車を呼ぶなど早期の対応が必要になってくることがほとんどです。歯の脱臼を起こしている場合には歯を必ず持っていくことをお勧めします。

ただ単にこけた場合には近隣の歯科医院に対応可能か、一度ご連絡してみるのが良いかと思います。ちなみにお子さんが歯ブラシや箸をくわえたまま走ったりして転倒した場合は死亡含め重篤なリスクがある場合があります。歯ブラシや箸をくわえたまま走らせないように注意していただくのと同時に、万が一転倒した場合には歯ブラシの柄などくわえていたものが欠けていないか確認したいので、それも病院にお持ちいただくのが大切です。また、てんかんなど意識消失して転倒した場合も重篤な場合がありますので、救急受診が良いかもしれません。

炎症の場合には体調や全身疾患との関連によって症状の進行スピードが変わっていきます。口が開きにくい、呼吸がしにくいなどの諸症状がありましたら、直ちに救急にかかる必要があろうかと思います。

疼痛の場合、歯の痛みと顔面の痛みで対応が変わってくる場合があります。歯の痛みだと歯科治療が必要になることが多いですので、歯科が併設された病院か、夜間診療を行っている歯科医院の治療をお勧めします。また、顔面の痛みであれば神経内科や脳外科、歯科が併設された病院をお勧めします。場合によって狭心症症状が顔面痛として出る場合もあります。総合病院であることに越したことはないかもしれません。

なお、歯科領域に限らず、救急の処置は医療施設の労力を必要とします。いわゆるコンビニ受診にて夜間救急が疲弊する現場も多く見てきました。上記をご参考にして頂くと同時に、救急車使用や夜間救急にかかるほうが良いか迷われる場合には救急相談センター(♯7119)をご利用すると、適切な対応をして頂けます。ご参考になさってください。

2020.09.03

口内炎をどう治療するか?軟こう?内服薬?

 おはようございます。台風シーズンに入り、2つつづけて台風が西日本に接近しています。とくに土日はしっかりと雨風対策をして、台風に備えていきましょう。

さて、今回は口内炎(口腔粘膜びらん)の対処法についてです。

口内炎と一言にいっても原因は様々です。ただ単に噛んだ・硬いもので引っ掛けたという外傷性のものだけでなく、全身疾患によるもの、抗がん剤など投薬によるもの、食いしばりなど悪習癖によるものなど多岐に渡ります。

そのため、通常通りの軟こうを塗布するだけでは治癒しない口内炎が出てきます。

口内炎の治療の最初は、まず何が口内炎の原因か、原因は除去できるものかについて診査します。その結果、除去できるものであれば除去すればそれだけで改善することがあります。

口内炎を早期に改善するためには外から保護する、中から再生する事が大事です。

外から保護するとなるとステロイド入り軟こうの塗布、シール状の薬を貼るなどの対策になります。

中から再生するには粘膜のターンオーバーを促進し、上皮化を促す補酵素型ビタミンB2製剤の内服が治療の主体になります。(ただ、現在諸事情にて原材料の供給がストップしているため、処方を行う事ができません。)

そこで、外からの保護、中からの再生する良い方法があります。それが漢方薬、半夏瀉心湯です。半夏瀉心湯は皮膚や粘膜のターンオーバーを早くする効果があり、皮膚の炎症や消化器症状に効果がある薬ですが、口内炎にも同様に効果があります。加えてお湯に溶かして頻回にうがいすると、治りが良くなる効果もあり、中からも外からも効果のある良い薬になっています。

口内炎がなかなか治らない方は一度市販の半夏瀉心湯を内服・うがいして効果を見てみてもよいかもしれません。それでも治らない場合には口腔がん・舌がんなど悪性腫瘍などの怖い潰瘍の可能性もありますので、かかりつけの先生に診ていただくのがよいでしょう。

ちなみに半夏瀉心湯は保険適応がありますので、歯科でも処方可能です。ご参考になさってください。

2020.09.01

防災時に備えて頂きたいこと

 おはようございます。本日(9月1日)は防災の日となっています。

日頃よりハザードマップを確認し、水害および土砂災害への備えを行う事、避難経路や避難先を確認し、被災時に命を守る行動をとることは非常に大事です。地域のハザードマップを確認し、ご自身の行動についてお考え頂く日にして頂ければと思います。

さて、被災した後、避難生活が始まるのですが、災害発生直後は避難先での家族以外の多くの人と共同生活を送る事になります。その際体調にまつわる要素として起こるのが①感染機会の拡大②支援物資(特に水)の不足、そして③清潔環境が保てなくなる、などです。

①感染機会の拡大:人が行き来するドアや共同トイレなど多くの人が集う場所では他者がどこもかしこも触っている状況になります。自身の手指が汚染される事により、様々な感染症を起こす可能性があります。

②水不足:支援物資口のケアにとっては重大な問題です。歯磨きの際の水ですら困難な状態になることが予想されます。

③清潔環境が保てなくなる:前述のように感染機会は増えますが、手洗いや入浴の機会は水不足により減少します。それによりさらに感染の機会が増えることになります。

昨今のようにコロナが流行しており、さらに冬からはインフルエンザの流行が必至の状態です。これらの要素に備えて、避難先での健康を保全することが大事です。

そこで防災グッズをそろえておくことをお勧めします。支援物資はすぐには届きませんが、3日程度経つと届くといわれています。つまり3日を乗り越えるだけの物資を取り揃えておいてほしいと思います。

その中でもマスク、飲料水、消毒用のウェットティッシュ、ハンドジェル、歯ブラシ、洗口剤の用意をお勧めします。

ポイントとしては固形の歯みがき粉はうがいを要するため、緊急避難先ではうがいが不要な洗口剤の使用が良いと思います。また、歯ブラシは鏡を見ながら清掃できない、あまり洗面所を占拠できないことを考慮すると、普段の自分に合った歯ブラシを使うというよりはシステマのGENKIやルシェロのグラッポなど、清掃効率の良い歯ブラシを使用する方がいいかもしれません。またこまめに手を消毒剤で拭いて手指の清潔には十分配慮することが大切です。

災害は誰にでも起きうることです。防災の日を機会にいろいろと準備してみてください。

2020.08.27

口腔内科って何?

 8月ももうすぐ終わりですね。ラニーニャの影響で、今年は残暑が長くなりそうです。皆さん、体には十分注意してお過ごしください。

さて、今回は口腔内科についてお話してみます。

口腔内科という言葉を初めて聞いた、という方もいらっしゃるかもしれません。そもそもではありますが、歯科というのは性質として麻酔をする、歯ぐきを触る、歯を削るなどの行為を行うことから、外科系の科といってよいと思います。その中でも口腔外科というのはガンの手術や骨折を含む外傷の手術など、口にまつわる多くの外科治療を担当しますが、口腔外科の役割はもう一つあります。

それが、口腔内科の治療です。前述のとおり、通常の歯科は外科的な性格を持ちますので、口内炎や舌の痛み、味覚の違和感や口の渇き、その他口の中の違和感に内科的なアプローチを進めるという事をあまりしないのが現状です。皆さんの中にも、口内炎と言われたら口内炎用の軟こうを出されて終わり、といった事があった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

例えば口内炎を改善するとした場合、口腔内科的なアプローチとしては糖尿病など基礎疾患が無いか、口の中に悪影響のあるような薬や注射をしていないか、口の渇きや清掃不良など口の中の状態が悪化していないかなど、全身状態と口の中の状態を把握し、ビタミン剤や漢方、軟こうなど適切な投薬を行う事になります。

口腔内科と口腔外科は対極にある性質をもっていますが、全身疾患をよく理解できている口腔外科医は内科的な対応もできるため、通常の歯科医院では困難な疾患にも対応できる、というわけです。

口腔内科的なアプローチに関心がある方は、お近くの口腔外科を標榜している歯科医院に相談に行くのはいかがでしょう。

2020.07.31

いびき、歯ぎしりの治療について

 おはようございます。

本日(7月31日)、梅雨が明けたような天気ですね。同時に非常に暑くなってきました。コロナ禍でマスクしていることもありますので、いつもより熱中症に注意してください!

さて、本日はいびき、歯ぎしりについて書いてみたいと思います。

いびき、歯ぎしりは誰もが非常に疲れたり、深酒が過ぎたりしたら睡眠が浅くなって朝、顎や歯が痛かったり、家族に指摘された事があるものかと思います。

ただ、そのような一時的なものは生活習慣の是正で良くなりますが、人により鼻の状態や、肥満、あごやあごの筋肉の発達によって日常的にしてしまう場合があり、そのような方は治療が必要になります。

治療法は主に理学療法、薬物療法、外科療法、そしてマウスピース療法となります。今回は歯科での治療を主に説明します。

理学療法は、電気を当てたり、マッサージをしたりしていくことになります。一時的な症状緩和はできますが、何度も治療に来ていただく必要が出てきます。

次に薬物療法です。筋弛緩剤や鎮痛剤、そしてボトックス注射などの方法で、筋肉のこわばりを取り、痛みを取る方法です。これも根本的な解決には至らず、何度も治療に来ていただく必要が出てきます。

外科療法は、食いしばりの主体になっている筋肉の付着をはがしたり、ついている骨を取り除いたりしていきます。根本的な除去につながる可能性はありますが、多くは全身麻酔が必要ですし、出血などの随伴症状を伴うことになり、危険があります。

最後にマウスピース療法です。上だけ、もしくは上と下をくっつけてかみ合わせを固定したり、強く食いしばらないように歯を保護していく方法です。これも根本的な解決方法には繋がりませんが、少なくとも食いしばる力をコントロールし、歯やあごを保護する方法になります。

鼻が悪い場合や、肥満の場合には睡眠時無呼吸症候群という病気が隠れているいびき、歯ぎしりの場合がありますので、専門の睡眠時無呼吸症候群外来を受診していただき、場合によって歯科でのマウスピースが適応といわれる場合も出てきます。

以上です。ご参考になさってください。

追記:日中の食いしばりが気になる方は100円均一ショップなどで鏡をお買い求めいただき、日中に仕事場や家に据え置き、仕事や家事をしている間に食いしばりが無いかどうかチェックし、噛みこんでいるようであれば顎をマッサージしてリラックスするようにしたら日中の食いしばりは改善することがほとんどです。歯科医院を受診する前に、そこから試してみるのもいいかもしれません。